いびき・睡眠時無呼吸

睡眠呼吸障害の臨床的研究　―夜間低酸素と血圧変動を中心として―

本研究は睡眠呼吸障害における重症度分類の新しい角度からの評価の試み、および睡眠呼吸障害が夜間血圧に与える影響を中心に、手術的治療の有用性を含めて行われた臨床的研究である。
従来重症度の指標として無呼吸や低呼吸の重症度が多く用いられてきたが、睡眠呼吸障害に関連して引き起こされる夜間の低酸素状態が、無呼吸や低呼吸の重症度とは必ずしも一致しないことを示した。さらに無呼吸前後の血圧変動への影響を考える際には夜間低酸素状態が指標として有用性が高く、睡眠呼吸障害の重症度を判定する際には少なくともこの両者についての検討が必要であることを指摘した。
また、手術的治療施行例の術前後の比較にて、無呼吸低呼吸指数、夜間の低酸素状態、および無呼吸前後の血圧変動の有意な改善を認めており、手術加療の有用性を示した。さらに、術前後の比較が可能であった症例について安静覚醒時の血圧の検討がなされているが、手術加療による有意な降圧効果が認められており、睡眠呼吸障害が循環器系、特に血圧に対して少なからず影響を与えており、高血圧症例に対しても手術加療によりかなりの頻度で改善することが明らかとなった。これまで循環器系への影響の立場からの睡眠呼吸障害に対する外科的手術効果についての研究は殆どなく、新知見として手術加療の有用性を明らかにした。